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2008/02/17

エコがカネになるしくみづくりを!

 私は以前、いろいろなビジネスマンと森の話をしたことがあります。森の手入れをすると鳥が増える、花や木の実が増え、キノコが採れるなどなど、本当にたくさんの内容を語り、彼らが感動してくれていることが私にも伝わってきました。ところがその中の一人がこう言い放ったのです。

 「うちの会社にはもっと広い森があるけれど、手入れをしたって金にはなりませんから、やりませんね」

 その一言で私の一時間半の努力が水の泡になりました。実はこういう発想こそ、いまだに日本のビジネスの主流であることが事実なのです。悔しいですよ。すぐにお金にならないことは放り出しておく。自分のトイレを掃除しないのと同じことです。

asahi.com:朝日新聞就職・転職ニュース「意識の中にも自然を取り戻せ」C・W ニコルが語る仕事-2 から2008年2月17日20時13分に引用

C・W ニコル氏は弊社事業にも理解を示して下さった方だ。エコロジー論議に賛否両論あることを認識した上で、私個人は「エコがカネになるしくみづくりを!」と強く思う。

HTBがお手本にした「究極のリサイクルシティ」江戸は、行政が介入せず市税もないという『都市』だった。ではそこで、現在のゴミ回収や下水などの資源行政はどう行われていたのか。答えは簡単、民間の活力/略して民活だ(懐かしいコトバだな おい)。
し尿は農家が肥料として買い取ったし、古紙や古布もまた業者が買い取った。それも企業がやるのではない。個人対個人、あるいは個人経営の商店・対・消費者の直接取引だ。

リサイクル・リユース・リデュースの仕組みをいつまでも善意や自己満足だけに任せていては、企業の将来はないだろう。なぜなら、資源枯渇による経済の衝撃をまともに喰らうのは消費者、そしてそのツケを払うのは企業だからだ。

植林さえすれば良いという誤解がある

 私が初めて日本で暮らした地は東京の東村山。その周りの雑木林は明るく、山菜とキノコがたくさん採れ、子どもたちが元気に遊んでいました。それはきちんと森に手が入れられていたからです。

 しかしその雑木林でも手入れをしなくなると、成長しようとする枝の中で負けるものが出てくる。やがて成長が止まり、病気が入りやすくなり、日本の繁殖力の強いツルが木を絞め殺すのです。途中で折れた木は、そこからまた枝を伸ばそうとし、ツルもさらに上へ伸び、30年もするうちに明るかった雑木林は暗いヤブになる。人が歩けない、鳥も飛べない。光が入らないからさまざまな生物が死に絶える。

 日本は北海道から沖縄まで、かつての里山の風景は一変しました。また、同じ木ばかりをびっしりと植林した風景もよく目にします。建築材料として真っすぐに伸びる杉などが非常に多い。しかし、この人工林は込んで植えられているうえに、木の枝や葉がびっしりと覆っているので、手入れや間伐をしないと土に日が当たらず草も生えません。すると土が死んで地肌がむき出しになります。台風や大雨が来ると山崩れがおきやすくなります。私の知人は「山が死ぬ」と言っています。

 木は必死になりますから、生き延びるために花粉を大量に遠くへまかなければなりません。都会に住む人も、この花粉には悩まされているでしょう。

 日本は森の国です。その森は多くの種類の木々が育つ原生林であるからこそ、さまざまな可能性を持っているのです。原生林はこの国の自然の銀行なのです。しかし今の日本の原生林は森全体の2%しかない。的の外れた植林をしている省庁ばかりを責めているのではありません。山や森を持っている企業も目を覚まし、本気でこの国の森を生かして欲しいと思いますね。


(中略)
 森は太古の昔から人間を生かしてくれた。だから私たちは森に入ると心も体も癒やされます。DNAにそれが組み込まれているのですね。その森の持つ力をビジネスとして着眼することはできるはずです。

 私の住む長野県信濃町は、他の日本の田舎と同様に人口が減っている。でも、黒姫の森の周辺は、若い人やリタイアした人々がいい環境を求めて居を移し、人口が増加して土地の価格も上がっている。森を活(い)かして経済につながる可能性に眼(め)を開いて欲しいと思います。(談)

C・W ニコル ●小説家、ナチュラリスト。1940年英国南ウェールズ生まれ。17歳でカナダに渡り、カナダ水産調査局北極生物研究所の技官として海洋哺乳(ほにゅう)類の調査研究に当たる。その後、エチオピア帝国政府野生動物保護省、カナダ水産調査局淡水研究所の主任技官。また、環境保護局にて石油、化学薬品の流出事故などの処理に当たる。80年長野県黒姫に居を定め、95年日本国籍取得。2002年「財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団」(http: //www.afan.or.jp)を設立、理事長となる。05年英国エリザベス女王より名誉大英勲章を受ける。主な著書に『風を見た少年』『勇魚』『誇り高き日本人でいたい』など多数。近著に『マザーツリー』(静山社)がある。

オープン当初に目撃し、今でも忘れられない事例がある。
こんなエピソードを公の場に書くのは反則だが、どうしても言いたいので許して欲しい。

その頃、HTBの街はまだオープン効果で混雑していた。
先を急いでいたらしい男性が混雑に苛立ち、足下を睨んでいまいましげにこう叫んだ。
「こんな所に花なんか植えやがって! (歩きやすいように)ちゃんと舗装しろ!」
そして彼は、ためらいもなく、花を避けることもなく、パンジーの花壇に足を踏み入れた。いくつかの花が、無残に踏みしだかれた。
ずかずかと数歩進んだところで、彼は自分の背後を振り返り、家族に叫んだ。
「早く来い!」
彼の子供とおぼしき少年が、一瞬ためらった。父の後をついて花を踏んで歩くか、混雑を縫って遅れてでも後を追うか。
直後、彼は父の後を追う方を選んだ。理由は分かっている。父の怒りが恐ろしいからだ。
少年はそれでも、できるだけ花を踏まないように爪先立ちで、つらそうに花壇を駆け抜けた。

今、あの少年はどうしているだろう。どんな大人になったのだろう。そして、彼の父はどうしているのだろう。元気で穏やかな老後を、のんびり送っていて欲しいと思うのだが。

あの時、私は思ったのだ。あの父親のような人たちが、今の日本を造ったのだと。
それが悪いというのではない。時代が全員にそれを強いていた。それは分かっている。
だから思うのだ。「エコがカネになるしくみづくりを!」と。
エコロジーへの取り組みが青臭い書生論などではなく、優れたビジネスモデルだということを示して欲しいと。
その祈りは、今も続いている。
だから、私はここにいる。

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