2253年07月05日 ママは何でも知っている。
マリネリスを出航、第二種戦闘配置。
───戦闘経験の豊富なアストラーダ艦長はいつも慎重だ。都市船出航時の警戒体制も、ずいぶん長い。
[エリザベス]戦闘になるかもしれないねえ。
上甲板エレベーターホールで、エリザベス副長がそう俺に声をかけてきた。
[ユーティス]・・・何事もなければ、いいんですけどね。
俺がうなずくと、ビッグ・ママはどこか哀しそうな顔で誰に言うともなく続けた。
[エリザベス]エステルは、あの子はもうネーバルウィッチの故郷、母船団には帰れないだろうね。体のいい捨て駒だよ。
[ユーティス]・・・・・・
[エリザベス]悲しいねえ。あの子は悲しいだろうに、そういう気持ちを誰かに伝えることも出来ないんだよ。親しい友人も何も、いないからね。私じゃ年が離れすぎてね・・・。
・・・それじゃ、ママは何もかも気づいていて、エステルを艦長に───自分の後任に据えたのか・・・。俺は今さらながらに、ビッグ・ママの配慮に胸を打たれた。
そして、そんな彼女には、エステルには俺がついてますなんて、こっぱずかしい事は口が裂けても言えなかった。
きっとママは、そこまでちゃんと知っているんだろうし、ね。
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